転職した医師の実際の体験談
目次
麻酔科女医の転職体験記:はじめに
私は、平成元年に地方の国立大学医学部を卒業後、雰囲気の良い東京都内の私立大学麻酔科に入局しました。2年間の臨床研修を経て大学医局人事で都立病院麻酔科に就職し、麻酔科標榜医・学会認定医を取得、週1日の研究日と週末を利用して所属している大学病院で動物実験・医学博士論文を作成しました。
転職を考えた理由
その後、国内外の麻酔科学会で研究結果を発表、都立病院では手術室での麻酔やペインクリニック外来の激務の日々を過ごす中、東京都内への満員通勤電車や冬の寒さがとても嫌になってきて「転職してハワイに行きたい…」と思うようになりました。
研修医時代にアメリカ医師免許試験を数回受験したことがあり(結果は不合格)、また医局の先輩が留学しているアメリカの大学研究室を見学に行った際に、一度は海外で働きたい、という思いがありました。
しかし、研究留学では収入がなく、臨床で働くには米国医師免許のハードルは高く、思い悩んだ結果「日本のハワイ・沖縄への転職は??まず行ってみよう」と考えるようになりました。
東京から沖縄、そして離島への転職
旅行では行ったことのある沖縄ですが、医療分野では何の事前情報もなく、どうしよう、と思っていた時「全国展開中のT会グループ病院は転職時の病院見学や引っ越し時の旅費を負担してくれる」と聞き、電話で病院事務担当様と打合せし、早速冬休みに日帰りで沖縄まで行ってきました。
そこでは、病院長が直々に病院内を案内して下さいました。
たまたま院長の卒業大学が、自分の所属している隣の大学で、共通の知り合い医師もいたりして、とても親しみを感じました。医局でも秘書さんはじめ、緒先生方がとてもフレンドリーで、以前より勉強したいと思っていた高圧酸素療法を積極的に行っている病院でしたので、即、就職を決心しました。
長年働いてきた都立病院でしたが、退職届を提出し(その際、労働組合の方がボーナス支給されてからがいいですよ、とありがたいアドバイスあり。)数回、沖縄に通って、住居を決め転居は車一台に身の回りの物を載せて、カーフェリーで2泊3日の旅となりました。
仕事内容は、高圧酸素治療部に在籍し、沖縄ならでのハブ咬傷や減圧症・有害海洋生物の治療について学びつつ、時々手術室の麻酔を手伝ったり、ICU当直を行ったりの日々でした。そのうち、沖縄県の離島にグループ病院が開院することになり、そこへ副院長として出向する機会がありました。
開院前の準備や、開院後は今まで経験のなかった透析室での勤務、また他の離島へ病院までセスナ機に搭乗して麻酔を担当、私生活では暖かで美しい海に囲まれて、とても有意義な時間を過ごせました。
再び沖縄本島へ移住・老健施設長となった理由
離島生活が続く中、ご縁があって子供にも恵まれましたが、子供の教育を考えると、このまま離島で過ごすのは良くないと考え、幼稚園年長となった時に、沖縄本島に新規開校したインターナショナル校進学を計画、幼稚園編入試験にチャレンジしました。
ちょうど、子供の学校隣に精神科・内科病院が医師募集中で、面接を受け、就職がほぼ決定し、転居も決まりましたが、残念ながらお受験は不合格でした。
急遽、運よく那覇市内の老健施設で施設長に就職が出来、子供は職場近くの幼稚園へ編入、数校小学校を受験して、希望の学校に入学が決まりました。
訪問診療クリニック勤務から緩和ケア病棟への転職
そのうち、ありがたいことに「老健の医師は、まだもう少し後でも良いのでは?」とお声をかけて下さったクリニックがあり、そこで訪問診療を担当することになりました。
診療報酬改定前は、羽振りのいいクリニックでしたが、だんだん訪問診療の締め付けが始まり、非常勤医師が辞めていき、2名の常勤で365日のオンコールを受け持つ状態となってしまったため、申し訳ないと思いながら退職し、現在勤務中の病院に就職しました。
この病院は子供の学校から近くて、20床の緩和ケア病棟を新規オープンし、私はこの病棟を担当しています。
転職後、現在の勤務状況
沖縄ではじめて就職したTグループ病院から「麻酔を手伝って」との依頼があり、月に数回は出向して手術室での麻酔を担当しています。
あとは、子供の学校の学校医となり、年度初めの内科検診を担当、また以前取得した産業医資格で米軍基地内派遣会社の産業医を担当し、米軍基地内入所パスを貸与され、日々有意義に過ごしています。
夢の実現を目指して転職チャレンジを続けたい
医師となって、アッという間に33年目を迎えようとしています。
転職にあたっては、自分で直接問い合わせや、エージェント経由での面接もありました。
海外での勤務という夢を諦められず、オーストラリア移住を計画したり、ベトナムで開業されている日本人医師のクリニック見学に行ったり、上海やシンガポールの医療特区や日系病院への就職も検討している間に、世の中はコロナ禍の時代となってしまいました。
大好きな海外旅行も儘ならず、ステイホームで過ごす日々ですが、コロナワクチンが普及して、治療法が確立したら、今度こそ、海外へ転職したいと考えています。
医師の転職について、私の体験談を紹介させて頂きました。少しでもお役に立てれば嬉しく思います。
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