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転職時のチェックポイント
これから転職するとしたら、不安が沢山あるはず。
転職を成功させるために、自分に合いそうな病院を選び、さらに労働条件も細かくチェックして、業界での評判も集めて・・・。そうして情報を集めるうちに、何周もして、さらに不安が強くなっていませんか?
このページでは、転職するときにおさえておきたいチェックポイントを紹介します。主に「職場選び」にフォーカスして、これから転職する医師(および医療関係者)のチェックシートになるように、細かい点までまとめてみました。
医師の転職時におさえておきたい14個のチェックポイント
それでは、医師の転職時におさえておきたいポイントを紹介します。
転職を成功させるために、ひとつひとつチェックしていきましょう。
1. 今回の募集は増員か欠員か?
ある病院の採用情報が掲載されていたとします。
さて、今回の募集は増員でしょうか? それとも欠員でしょうか?
前者の場合は、病院の業績が伸びているか、さらにサービスを充実させようとしているかですが、後者の場合は、「何らかの理由で辞めた医師がいる」ということです。
増員か、欠員かを見分ける方法ですが、常に採用情報を掲載している病院は、ほぼ「欠員」と思っていいでしょう。仕事量や給料などの理由で医師の出入りが激しい、いわゆるブラック企業の可能性があります。
採用情報だけで判断がつかない場合は、応募を検討している病院に近い人に、内情を聞くのも手です。
2. 仕事内容は明確か?
応募しようとしている病院の仕事内容は明確でしょうか。採用情報にざっくり「○○科の医師」とだけ書かれている場合は注意が必要です。
どのような立場で、どのような仕事を任されるのかを明確にしておかなければ、「こんなはずじゃなかった・・・」になってしまいます。
一般企業を例にすると、たとえば「営業」の仕事に応募したとして、顧客のオフィスに行って商談し、自社商品を販売したり、新しいサービスを企画するイメージだったのに、入社して任されたのは商品の配達・・・。「これでは営業というより“配達マン”じゃないか」というようなことです。 入社してから別の仕事を任せる可能性があるため、採用情報はあえてざっくり書くパターンもありますので、面接時に仕事内容を確認しておきましょう。
3. 求められるスキルや経験はどの程度か?
病院から求められるものはイメージできていますか?
医師としてのスキルや経験は、病院が求める水準に達しているでしょうか。
たとえば勤務医として数年の経験しかなければ、「スペシャリスト採用」には向かないかもしれません。逆に誇れる実績がありながら、「欠員採用」に応募するのはもったいないかもしれません。 30〜40代の医師だと、即戦力になりえるスキルや経験とは別に、マネジメント経験が問われる可能性もあるので、病院が求めるものをイメージしておきましょう。
4. 求められる職務に見合った年収はもらえるか?
求められる職務がイメージできたとして、果たして年収は見合っているでしょうか?
通常勤務をこなし、当直もこなして、合間に部下のマネジメントをして、自分自身で「妥当」と思える金額をもらえるでしょうか。
一般的に転職希望者は、「転職したい」「入社したい」気持ちの強さゆえ、応募先に対して金銭的な確認をしない傾向があります。年収などのお金周りの話をして、応募先に嫌われる=採用を見送られることを恐れるからです。 気持ちはわかりますが、これから働く上で給料も重要な要素ですから、しっかり確認しておきましょう。
5. 福利厚生は完備されているか?
病院に福利厚生はありますか?
常勤医師の場合は、社会保険に加入でき、納税関連も病院が代行してくれることがほとんどですが、非常勤医師はそうではありません。自身で国民健康保険などに加入し、確定申告もしなければならない場合が多いです。
ただ、最近では非常勤医師に福利厚生を提供する病院も増えているので、年収とあわせて福利厚生面も確認しておきましょう。
6. 勤務時間や休日は明確か?
何時から何時までが勤務で、いつが休みか明確になっているでしょうか?
勤務時間がわからなければ、プライベートのイメージはできないでしょう。たとえば何時に出社して、何時に家に帰れるかは、子育て世代にとっては気になるところです。休日を趣味にあてている人も、オフの確保は気になるポイントだと思います。
じっくり体を休める時間、家族との時間、同僚と親交を深める時間、学会の時間を確保するためにも、基本的な勤務時間の確認は必須です。できれば雇用契約書を出してもらって、労働条件を明確にしましょう。
7. 学会に割く時間や経費は確保できそうか?
学会に割く時間や経費は確保できそうでしょうか?
学会で新しい知識を得る時間は、医師にとって重要です。以下のデータによると、勤務医は、開業医に比べて学会参加率が高い傾向があります。
- 開業医:1〜2回/年(35.9%)
- 勤務医:3〜4回/年(30.8%)
引用元:勤務医の半数以上、過去1年で学会発表の経験あり(m3.com)
しかも勤務医は、開業医に比べて、学会での発表率も高い傾向があります。1年以内に学会で発表したと回答した人の割合は、以下でした。
- 開業医:17%
- 勤務医:52%
引用元:勤務医の半数以上、過去1年で学会発表の経験あり(m3.com)
さらに勤務医は、平均4.2つの学会に参加しているようです。
- 医師全体:4.0
- 開業医:3.4
- 勤務医:4.2
引用元:勤務医の半数以上、過去1年で学会発表の経験あり(m3.com)
複数の学会に所属している場合は、勉強や発表準備に追われるでしょう。勤務時間の確認とともに、学会に割くだけの時間があるかも確認しておきましょう。
また、学会に参加する際の経費は、基本的に自己負担です。病院が福利厚生の一環として一部負担してくれる場合もありますが、全額支給ではありません。複数の学会に所属している場合、時間や経費は膨大になりますので、そのあたりもよく考えておきましょう。
8. ワークライフバランスはイメージできるか?
これから応募する病院で、ワークライフバランスはイメージできるでしょうか?
ワークライフバランスとは、仕事とプライベートのバランスのこと。仕事とプライベートの時間配分だけでなく、結婚・出産・子育てといった、中長期的な人生設計とのバランスも含みます。
たとえば出産を考えていたとしても、病院に育児休暇の制度がなければ退職するしかなくなります。男性医師が育児休暇を取ろうとしても、女性のみ取得できる規定であれば、子供の成長を側で見るという念願は叶いません。
労働条件とともに、従業員向けに提供している制度も確認して、ワークライフバランスをイメージしてみましょう。
9. 病院の経営状態は安定しているか?
病院の経営状態は安定していますか?
こればかりはインターネットで調べても出てこず、実際に現場に行ってみるしかありません。そう、患者として病院を訪れてみるのです。
患者の数、従業員の数、使用している機器やメンテナンスの状態、清潔さ、備品の設置に至るまでチェックし、経営状態を想像してください。経営状態が悪ければ、時計が止まっているなど、「行き届かない部分」が必ずあります。
応募を検討している病院に近い人に実情を聞くのもいいでしょう。
10. 病院に将来性はあるか?
病院の経営者は、どんなヴィジョンを持っていますか?
ホームページに記載されている病院長の言葉や、病院としての思想を今一度確認してください。数年前にホームページの更新が止まっているとしたら、その病院は古い体質なのかもしれません。
言うまでもなく、令和の時代はデジタル化がさらに進み、何もかもがインターネットでできる時代になるでしょう。また、2020年から世界中で大流行した新型コロナウイルスによって、人々の生活様式は一変しました。
今まで以上に変化の激しい時代において、旧態依然とした考え方は足かせにしかなりません。応募を検討している病院が、来たるべき激動の時代に備え、患者や従業員のことを懸命に考えているか、応募する前にリサーチしてください。
11. 病院はどのような風土(カルチャー)か?
病院の風土は調べましたか?
風通しのいい組織なのか、それとも上下関係がはっきりしていて、新入社員の意見が通るような組織ではないのか。あるいは組織とは名ばかりで、各自がバラバラに動く組織なのか。
組織のカルチャーもインターネットに出てきづらい情報です。リサーチするには、応募を検討している病院に近い人に聞くか、伝手をたどって実際に働いている従業員に聞くしかありません。
転職してから自分の力を発揮するには、自分に合った風土であることも重要です。
12. 100点満点の転職先を探そうとしていないか?
12個目は、とくに大切なポイントです。
100点満点の転職先を探していないでしょうか?
もちろん、せっかく転職するのですから、何もかもが自分の希望通りであるにこしたことはありませんが、100点満点の病院はほぼないと思ったほうがいいでしょう。
たとえば給料は高いけど、仕事量が多く、プライベートの時間がとれそうにないとか、逆に給料はそこそこだけど、自分のやりたい仕事を任せてもらえるという転職先があったとき、判断に迷うと思います。
多くの場合、判断に迷ったら「様子見」か「転職を見送る」になりますが、もしかするとそれは大きなチャンスを逃す行為なのかもしれません。
筆者の知人にも転職のチャンスを逃して後悔した人がたくさんいます。
取引先から転職オファーをもらい、わずかな年収減を理由に断った1年後、その会社が急成長し、社員の給料が一律ベースアップされた例。ある企業から内定をもらったものの、「やりたい仕事ではない」を理由に断り、最終的に選んだ企業で不遇の日々を送ることになった例。
これはいずれも結果論ですが、100点満点の転職先を探そうとすると、せっかくのチャンスを逃しかねません。
大切なのはバランスです。
給料は求める水準ではないけど、やりたい仕事に就かせてもらえる。仕事内容は多岐に渡って大変そうだけど、個人に裁量が与えられる働きやすい職場であるなど、どこかで現実的に考える必要があります。
現実的に考えるのは妥協ではありません。より良い職場を見つけ、キャリアアップするための大切な考え方です。
13. 今回の転職におけるリスクは何か?
今回の転職におけるリスクは何でしょうか?
ここで一度考えてみましょう。
以下に転職リスクの例をまとめてみました。
- 年収が減る
- すべてが期待はずれに終わる可能性がある
- 新しい組織とルールに順応しなければならない
- 人間関係をイチから構築しなければならない
- 戦力になれるかわからない
- 転職回数が1回増える
- キャリアダウンになる可能性もある
- 思い入れのある患者と離れることになる
いかがでしょうか?
ぜひ自分でも考えてみてください。
上記のような転職リスクより、リターンのほうが上回ると思えるなら決断は容易ですが、リスクのほうが上回るなら転職自体を躊躇すると思います。
転職は悩めば悩むほど「現状維持」を選ぶものです。客観的に判断するためにも、転職のプロの力を借りてください。
14.転職を自分ひとりで進めようとしていないか?
自分ひとりで転職を進めようとしていませんか?
どれだけ入念にリサーチしても自分ひとりでは限界がありますし、カバーできる情報範囲も限られます。そして転職に関する情報がそろったとき、客観的に判断するのも難しくなるでしょう。
転職を検討しているなら、ぜひプロの力を借りてください。
経験豊富な転職エージェントと手を組めば、転職成功率が高まるのはもちろん、自分に合った職場を選べる確率も高まります。
また、転職サービスを提供する会社は、地域の病院と連携し、「非公開求人」も多数持っています。非公開求人とは、病院が求める人材だけに紹介される求人のこと。つまり、インターネットにはない極秘の求人情報です。
転職エージェントと二人三脚で転職を進めて、理想の職場を見つけてください。
さいごに
このページでは、医師の転職時におさえておきたいチェックポイントを紹介しました。転職先を選ぶときに、ぜひ参考にしてください。納得ゆくまで転職先をリサーチすれば、自信を持って決断できるようになりますよ。